広辞苑(第七版)では、角打ちとは「酒屋で買った酒をその店内で飲むこと」としている。
ここでの「酒屋」は、現在では一般酒類小売業免許を持って酒を販売している店のことである。
この免許がなくては酒は販売できないのだが、この免許の歴史は意外と新しい。昭和13年に酒税法が改正され、それまでは酒造メーカーに課せられていた酒税が、酒類販売店にも課せられるようになったのである。同時に酒類販売が免許制になり、免許を持たなければ酒類を販売することができなくなった。それまでは誰でも何処ででも酒の販売はできていたということだ。
従って、劉寒吉、火野葦平、岩下俊作など北九州の作家が書いた作品の中には「酒屋での角打ち」が出てくるが、舞台が明治の終わりから大正にかけてである岩下俊作「無法松の一生」に出てくる酒屋は、もっぱら酒だけを売っていた店ということになる。(別稿を参照)
写真の出典:国税庁ホームページ